和田組に転職したのは30歳の時。以前はハウスメーカーの営業職でした。転職を考えたのは、家族と過ごす時間を大切にしたかったからです。NO残業を提唱していても、夜遅くまで仕事するのが常で、全国転勤もありえましたし、定休日が平日だったんです。結婚して家を建て、子育てが始まったタイミングでの大きな決断でした。
自分が望む暮らしが叶って、転勤の心配もなくなり、地元に永住できるならと、妻も就職。世帯年収も上がりました。家族と向き合える時間が増えて、子どもたちと親も喜んでいます。


住宅業界から建設業界へと舵を切る不安はもちろん、ありました。しかし、戸建て住宅は着工数が年々減少しています。世界的に不透明な経済の混迷もあり、民間需要だけに左右される住宅メーカーは将来的に厳しいかもしれないという思いもあったんです。その点、和田組は「大分県営明野住宅建替工事」のような大規模な公共事業も率引しています。建築業界は人手不足が深刻ですが、だからこそ活躍の幅はあると考えました。
とはいえ、営業とは畑違いの物づくりは初挑戦。建築用語は正直、難儀でした。でもそれが今、取り組んでいる人材教育で自らの経験を活かすチャンスに繋がっています。

和田組の工事部には組織図にはない工事推進会という部会があって、各現場から上がってきた問題や課題を共有し、スピーディーに改善・解決に導く仕組みを設けています。その1つの事例として、現場で使っているマニュアルが分かりづらいという声がありました。そこで改訂するにあたって、私自身が転職組でリアルに“分からない人”の目線で、新人向けに作り替えることになりました。ほぼ1年掛かりで集合住宅の建築現場を綿密にレポートし、建設に携わる様々な作業スタッフがどの工程でどんな役割を担い、何が行われているのか、一部始終を把握して分かりやすくまとめたルールブックです。
マニュアルだけではない、教育研修も充実していて、しっかり機能しています。新入社員だけではなく、2年目、3年目の社員のフォローアップ研修もありますし。「足並みが揃うまで見放さない」、「失敗も経験させて成長を見守る」という方針なんです。そういう会社に腰を据えて働ける安心感は大きいです。70歳を超えて現役で活躍している先輩がいますから、まだまだ先は長いですね(笑)。
